ロマンティックこんがらがってる

まるです。小森隼さんのこと | 🕊@superMC_8810

あなたとスタートライン、ゴールテープ

あなたの未来は絶対に明るいんだよ、本当よ。

どうか信じていて。

 

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気が付けばもう1ヶ月が経ってしまった。

偶然にも彼の大切な夢が1つ叶った日に、隼くんが生まれてはじめてに挑戦することが発表された2019年11月22日、夢みたいな冬は瞬く間に過ぎて、気が付けば私達は今、春の中に居る。

 

生まれてはじめての主演

生まれてはじめての朗読劇

BOOK ACT「芸人交換日記」全12公演、本当に本当にお疲れ様でした。

 

夢の舞台こと紅白歌合戦の眩しい余韻にぬくぬく浸る間も無く、スタートラインを駆け出した隼くん。親愛なる仲間、先輩や後輩と大切にバトンを繋いで、最後にゴールテープを切ったのも彼だということ、きっと全てに意味があるんだろうな。

 

短い時間に「田中」と「甲本」のふたりを生きるということ。

その難しさは計り知れないけれど、手を震わせながら、「緊張する」なんて笑ってはぐらかしながら、その全てを乗り越えてきたあなたはつよかった。

 

はじまりの1月とおわりの2月、どちらの公演も天気予報では彼が苦手な雨だった。それでも大切な日には必ず晴れ渡るんだもの、凄いなあ。夕焼けの優しい空も、澄んだ真っ青な空も、頑張り屋さんのあなたへの天からのありったけの祝福なんだよ、きっと。

 

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俳優の小森隼さん。

そう呼ばれる日が来るだなんてほんの1年前の今頃すら想像してなかった、きっとそれは隼くん自身も同じなんだろうな。

彼はこの時間の為にどれだけ心を注いで努力したんだろう、想像すら届かないほど。

 

私はほんの四度だけしか彼が舞台で生きる姿を観れ無かったけれど、その全てが忘れられない程素敵でした。変わりゆく相方と一緒に豊かに変わり生きたあなたを忘れたくないよ、歳を重ねても、いつまで経っても。

 

はじまりの1月に生きた彼。

隼くんの「田中」はね、優しい青年でした。

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舞台がぱあっと明るくなった時に小さく震えていた台本を持つ彼の手は、言葉を発した途端ふと凪いだ。あなたがひとつ自分を越えた瞬間がたまらなく眩しくて、涙が止まらなかったな。

他のどの俳優さん達よりも、相方からの交換日記の誘いを「嫌です」と眉をひそめて、むうっと断る。そして物語が軌道に乗り始めた時には、本当に嬉しそうな表情で、だけどオーバー過ぎず大切に「感謝です」というちょっと可愛いひと。真面目で誠実だけれど、ころころ変わる表情や仕草が愛らしくって、きっとお喋り好きなんだろうなと思う。「ネチネチした性格」なんて台詞にあるけれど、それすらチャームポイント。

「甲本」が5冊目の交換日記の中で安心した瞬間を打ち明けた時、隼くんが大きく息を吸って、壊れものに触れる様に小さく静かに、そして永く吐いていた姿が今も瞼の裏に残ってる。意図せずしても、あの海の様に深い呼吸は甲本の言葉を逸らさずに真っ直ぐ受けた田中の愛の深さに見えた。自分の世界を瞬く間に変えた、「昔の恋人」のような、そんな甲本への深い、深い愛。

 

 

実は昨年末からこの日の為に何度も原作を読んでいた中で、ひとつ「怖いな」と思い続けていたシーンがあった。

 

 

所謂おばけだとか、ホラーだとか、そういうのではなくって、芸人として売れてから生きることの怖さを「田中」が交換日記の中で語るシーン。はじめて読んだのは、忘れもしない少年クロニクルの大阪公演の帰り道。独りぼっちの飛行機の中、人目も憚らず涙がぼろぼろ溢れて止まらなくなったことを、今でも覚えてる。

 

もし隼くんが「田中」役だとしたらどうしよう?

 

私はちゃんと彼を見つめられるかな。私はきっと泣くし、舞台の上の彼も泣いちゃうんじゃないかな、苦しくないかな、悲しくないかな。しんどくないかな、辛い日を思い出してしまったりしないかな。

そういうこと全てが頭をぐるぐると回って、1月を迎えるのが少し怖かった。それは気が付けば開演までずっと、ずっと。

 

いざ本番を迎えて舞台で生きた隼くんは、やっぱりくしゃくしゃに涙を流しながら生きて居て、やっぱり私も苦しかった。「胸がぎゅっと締め付けられる」って、あの時の感覚のことが正解なんだろうなと私は思う。

 

誰しもが社会で誰かに追い抜かれる怖さ、今の温かい居場所を失う怖さを持って生きているけれど、他の誰でも無く「自分」の身ひとつで戦わなきゃいけない世界で生きるってどんな気持ちなんだろう、浅はかな想像をすることしか出来ない。煌びやかだけれど、夢に満ちているけれど、それでも守られる組織に居たって、一個人が残酷なくらい問われてしまうシビアな世界。そんな場所で生きる彼の心を、多分私は一生理解し切れない。

苦しくて、怖くて、眠れない夜が隼くんにもあるんだろうか。優しい故に、多分誰よりも周りの感情が見えてしまう故に、どうにかしなきゃ、頑張らなきゃと自分自身の心をぎゅっと絞ってしまう瞬間はあるんだろうか。

 

そんなの、やだ。絶対やだ。

 

世の中に意地悪は当たり前に有ると知ってる程度には大人な癖に、子供が駄々をこねる様な無茶な望みだと自分でも思う。だけど私には祈る事しか出来ないから、せめて、せめて。

神様、仏様、この世の信じられる全ての誰か。きっとこの先の未来でもっと広い世界へと歩いていく隼くんに、どうかなるべくゆっくり呼吸をして「大丈夫」って、そう瞳を閉じる時に思える様な、凪いだ心で居られる様なおまじないを授けて下さい。悲しい・つらい・怖いを心の奥底に独りでぐっと閉じ込めずに、涙も「大人だから」って我慢せずに、素直に居られるような、そんなおまじないを授けて下さい。

座り込んで肩を震わせる彼を見たあの日から、そんなことずっと考えてる。叶って、お願いよ、どうしても。

だって彼はもう、こんなにも頑張ってる。

 

 

みやぞんさんとの"天国漫才"の最後、「有難うございました〜!」とサンパチマイクの前できらきら笑った瞬間、彼の両つま先がふわっと上がって、ふと「ああ、今"田中くん"に貸していた身体に、隼くんが帰ってきたな」と思った。

舞台を観るって楽しい、全ての仕草が見えるからこそ、色んな受け取り方が出来ちゃう。

隼くんお帰りなさい、素晴らしかったよ。

 

みやぞんさんの色と上手に混ざり合う隼くんで、とびりきお茶目に染められた2人のトークの後、舞台の上でひとりになった彼。

この日は開演の少し前まで小雨がぱらぱらと降っていて、まずはじめに「雨の中お集まり頂いて..」なんて目の前の数多の観客を気遣う彼の優しさが好きだと思った。だけど実はね、あなたが舞台に立つほんの少し前から雨は優しく上がりはじめて居て、終える頃には夕陽と青空が混ざり合ったうつくしいオレンジブルーの景色に変わってたのよ。

観客の身を案じたのちに、隼くんが今回の朗読劇について話してくれたこと。手元に台本も、カンペだって無いのに、ただ口元から心地良く、偶に戯けたりしながら溢れ続ける言葉たちに気が付けば「隼くんは凄いな」とひとり呟いてた。ここまですらすらと軽やかに話せるようになるまで、彼は一体どれだけの時間を過ごしてきたんだろう。

終演後、会場の外に出て空を見上げた時、彼の22歳最後のライブの日を思い出した。あの日も天気予報はずっと雨だったのに、嘘みたいに雲が去って、太陽と、優しいあなたが流す涙みたいな、そんな柔らかな色の空が広がっていたことを今も昨日のことの様に覚えてる。

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空だってあなたの味方なの。

隼くんの愛する優しい晴れは贈り物なんだと、やっぱりどうしたって私はそう思うのだ。確信してる。

 

早朝に起きてひとり飛行機へ、生まれてはじめてはじめての日帰りの東京。少しも辛くなかった、夢の様な1日だったな。帰りの飛行機、あなたの乗り越えた3日間を想って涙が止まらなかった。

 

あなたが生きる「田中」が好きだと、そう思った。

 

 

 

おわりの2月に生きた彼。

隼くんの「甲本」って、愛される才能に満ちてる!

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兵庫公演では青柳翔さんとSWAYさんが演じる「田中」の相方として生きた隼くん。おんなじ彼の筈なのに相手によってびっくりするくらい色が違うの、あなたは何色にだってなれてしまうの?魔法使いみたいだ。

 

青柳さんが演じる田中の隣で生きた隼くんは、きらきら眩しい太陽の様なひと。

青柳さんの「田中」は淡白であんまり感情が大きくない、落ち着いた外見のひと。物事を一歩違うところから見ていて、言葉を殆ど相手に重ねちゃうくらいの湿っぽいじっとりしたせっかちさん。そんな相方だからこそ、隼くんの「甲本」は笑ったり、胸を張ってみたり、湿り気が少しもない晴れた日の子供みたいだった。ふたりのコントラストがうつくしいの!

不貞腐れた時にはぽおんと足を投げ出して、つんと唇を尖らせてどっかり椅子に座り込む。ちょびっと格好つけちゃう時には首を揺らしてみたり、責めらそうな時には叱られる前の子供みたいに後ろめたそうに横目で相手を見る。きっと嘘がへたっぴなの、でも青柳さんとの彼の「甲本」は愛されるのが凄く上手な可愛いひとなのだと思う。借金作ったって、女遊びをしてたって、叱られる事は多々あれど、嫌われることだけは無いひと。久美さんから御守りのリストバンドを貰った時、「ふふっ」と笑う声がこぼれて、マイクで拾われちゃうくらいに幸せそうに笑う素直なひと。多分久美さんも田中も、彼の人間としての可愛さに心惹かれて一緒に居ることを誓ったんじゃないかな。

 

「うければうけるほど、俺、辛かった」

ふたりが最後に漫才をした公園での彼の台詞。どこまでも悲しい・悔しい・苦しい涙色で、ああ、隼くんの「甲本」はなんて嘘がつけない素直なひとなんだろうと、どの瞬間より強く思った。正直な彼が本心と共にぼろぼろこぼす涙に、気が付けば一緒に泣いていた。

 

 

 

 

SWAYさんが演じる田中の隣で生きた隼くんは、ちょびっと大人色でチャーミングなひと。

SWAYさんの「田中」はいつも冷静でいる様で実は心に小さな子供が居て、だからこそ次は彼の「甲本」がほんの少し大人に変わる。

例えるならば青柳さんとの隼くんは純真無垢なわんぱくな男の子、SWAYさんとの隼くんは10代の心を持つモラトリアムを生きるこどな。元々原作の「甲本」自体が子供みたいに自由、鳥みたいに軽くすいすい生きるタイプだけれど、SWAYさんの隣の彼はこの甲本に近い気がする。ちょっとズルすることとかを知ってる、あったりする、でもやっぱり可愛いひと。そしてきちんと、責任という言葉が心にあるひと。

 

不貞腐れてもちょびっと大人だから足を投げ出すのはちょっと遠慮がち。よく笑い・よく拗ね・よく期待して、破れて、やっぱり期待する。SWAYさんとの彼は「夢を諦める」ということが、「守るものの為に生きる」という感情がより色濃く見えた様な、そんな気がしたなあ。

 

「小さいな、けど、温かいなあ」

「生まれた時、傍に居てあげられなくてごめんな」

なんて、ようやく会えた小さな最愛の娘を前にして、こわれものを扱う様に大切に優しく、そして胸がきゅんと鳴く程切なく温かい声で話す隼くんが、「甲本」がどうしようもないくらいに好きだった。あの時の嬉しいと、深いごめんねと、計り知れない程の愛しさがくるりと混じった優しい瞳に惹かれて仕方なかったな。どうしたらそんな表情が出来るんだろう、彼になってあの瞬間の心の色を覗きたくなる。

 

後輩の成功の影で報われない事に憤った時、手にした台本に少しくしゃりと皺が入ったこと。悔しかったんだな、あの瞬間の隼くんが生きた「甲本」は確信を持って芸人として戦ってたって、そう思った。

 

「俺、芸人辞めるわ」

永らくの夢を諦めると、いつだって傍で支えてくれた最愛の奥さんに伝える時の、泣いてる様な、笑っている様な、そんな表情が忘れられない。確かに涙色なのに、強がりみたいに輪郭のある声。あの瞬間の彼は、他の何者でもなく責任を甘受した父親だった。モラトリアムとさようならした様な、そんな姿。

「こんな隼くんはじめて見た」なんて、彼を前にしてくしゃくしゃに泣きながらぼんやり思っていた。この世にはまだ知らない、きっと隼くん自身にだってまだ知り得ない彼が多すぎる。

 

夢を諦めた後、「俺は自分を褒めるぞ、俺は頑張ってる!」と宙を見上げながら自分自身を力一杯に褒めて、だけど「やっぱり、だめだ」なんて弱々しく俯くまでの短さは、甲本の深い辛さの表れだったんだろうな、とひとり今も思ってる。切なかった。とても。

田中と、久美と、黄染。

守りたい人達のために諦めた本心を、ひとつだけついた嘘を、くしゃくしゃに涙しながら、ありったけのままに伝えるシーン。感情のまま、心ままの表情と声なのに、隼くんの中の「甲本」の気持ちが彼からこぼれ落ちるみたいに、大好きな優しい瞳から大粒の涙は溢れて止まらないのに、あんなに眩しくて真っ直ぐな祈りは生まれてはじめて見たと、ただそう思った。

 

「イエローハーツで漫才してえ!!」

 

私がもし神様だったなら、今直ぐにだって叶えてあげるのに。

私がもしイエローハーツのファンだったなら、彼らが天国でサンパチマイクを前に笑う姿を見るまで、何度だって生まれ変わって、何度だってふたりが居る天国に行きたいと、そう願うはず。

叶えてあげたい、叶って欲しいと願いたくなる程に、隼くんが叫ぶ「甲本」の気持ちは、熱くて、悲しくて、切なくて、屈託無い愛に満ちてた。

 

数十年越しの願いが叶って、天国でふたり舞台に立った"天国漫才"。さっきまでの涙すら乾いちゃうくらい眩しい光の中で愛する相方に快活に、はきはきつっこむ姿があまりに希望に満ちていて、なんだか嬉しくって、一緒に笑ってしまった。隼くん、気付いてるかな?惚けた相方をはたく時のあなたの手は、あなたと一緒でとっても優しい。

 

あなたが生きた「甲本」が好きだと、そう思った。

 

 

 

 

全ての最後の公演と、相方を演じたSWAYさんとのお話を終えた後、ひとり「小森隼」として舞台の上に現れた隼くん。

照れ臭そうに袖から現れたと思いきや、ぽつんと真ん中に立ったマイクの前で「それでは一曲、歌いましょうかね」なんて凛々しい表情で戯けて、わあっと黄色い悲鳴が上がった途端「冗談ですよ、冗談ですからね?!」なんて慌てちゃう。その仕草や表情のすべてが愛おしくって、ああいつもの、私がほんの少しだけ知ってる隼くんだと、なんだか心地よく温い気持ちになった。好きだな、と思う。あなたのことが。

 

「話すことが沢山あるのでね、ちょっと纏めてきたんです」なんてごそごそとポケットから1枚、くしゃりと畳んだ紙を取り出す隼くん。話してくれたのは、今回彼が向き合った「芸人交換日記」もそのひとつであるプロジェクト、" BOOK ACT "について。

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触れるべきでは無いのかな、でもあまりに隼くんが誠実に向き合って居たから、私はどうしても触れたいと思う。

 

今回" BOOK ACT "に対して、本当に色んな誰かからの色んな意見があった。

大切に受け取って涙した声・心が動かされたという声もあれば、悲しむ誰かの声、つんとした批評や非難のような声。数多のひとが同じものを受け取るからこそ、どんな感情だって正しいものだと私は思う。ましてや人の死を扱う作品の中で、遠く・近くの数多の観客を集めきちんとお金を払うエンターテインメントという形を取った作品の中で、演じる人や環境を本気で愛しているからこそ、憤ることも、身を案じて悲しむことも、自分自身が傷付けられたようにぐっと痛みを感じることだって当然ある。抱く感情って多分全て正しい。間違いなんてない、だって大好きなんだもの。

だけどその感情を誰かに伝える時、噛み砕いて形を変えなければ間違い無く誰かを傷つけてしまうという事を、「怒り」という感情は直ぐに大きな波となって、瞬く間に誰かを飲み込み取り返しのつかない事になってしまう日があるということを、どうか忘れないでいて欲しい。

 

怒りって楽なんだよ、

そして恐ろしい程に人の心を蝕むの。

 

観客のひとりの怒りのままの言葉が広がって、足を運んですらいない遠くの誰かまで怒り出す。みんな怒る、みんな、みんなが怒るの。歯止めが効かないくらいに。

ぼんやりと遠くで眺めながら「この言葉、演じる彼らに届くのかな」と少し怖さを感じていた。怒りが届いた時、受け取り手も怒ったらその先には地獄しか無い。ただの永遠の傷つけ合いが待っている。それでもただ演じる彼らが傷付ついて、飲み込んで終わるのはなんだか悲しい様な気がした。それはアイデアや意見ではないんだもの。それに、顕な怒りをぶつけずに、純粋に楽しんでる・大切だから悲しんでる人も、届いた時には怒りの一部とみなされてしまうのは、もっともっと悲しい気がした。

私が遠くから眺めて居られたのは、

「隼くんが好きだから」なのかもしれないけれど。

 

こんなにも色んな感情を生んだプロジェクトの作品ひとつひとつに触れる事、きっと誰かが言葉のちいちゃな尾鰭を掴んで、気持ちをちくちくと投げ掛けるリスクだってあったはず。それでも隼くんは、等身大の隼くんのまま作品を見て感じた事をひとつひとつ話してくれて、そんな姿がやさしかった。

 

自分が踊る人だからこそ、尚のこと心に響いたこと。幼馴染の玲於くんが、身近な沢山のひとが演じ生きる姿に瞼が熱くなったこと。一緒に踊っていたはずなのに、今はもうどこで何をしているかすら分からない、だけどふと思い浮かぶ沢山の誰かを作品と重ね合わせたこと。

 

命の尊さを学んだこと。今を生きるということにあらためて向き合ったということ。「開始40分からずっと泣いちゃって、僕の前の席の人は煩かったと思うんですよ」「本当申し訳ないです」なんて、笑った時の表情。運命共同体である亜嵐くんとメンさんが演じる姿を観て、「この人達についていけば間違い無いな」って、そうふと思ったこと。

左手をずっと優しく胸に当てながら、伝えたい言葉を大切に探しながら、伝わる様に、届く様に、とひとつひとつの思いを話してくれたこと。

 

何十人も居る出演者ひとりひとりの名前を挙げて、このプロジェクトの為に作られた大切なうたたちの過程を大切に伝えたこと。龍友くんと楽曲とのエピソードの時は戯けちゃうところがなんとも隼くんらしくて好きだった。

 

時間にして約20分程、彼の口元から軽やかに言葉が生まれ続けた。笑って、戯けて、丁寧に、なにより誠実に。1月と同じ、やっぱり「隼くんは凄いなあ」なんて、そうひとりで呟いてしまった。

だってね、隼くん。あなたって凄いんだよ。たった独りで舞台の上で話す時、手元に持った白い紙、ちっとも見てやいなかったよね。気付いてるかな。

 

全てを話し切って、終わりの言葉を話そうとした隼くんの唇がぐいと歪んだ瞬間、ああ、と私の心臓が揺れた。潤んだ瞳を誤魔化すために目頭をぎゅうっと押して、隠す様に後ろをほんの少し向いて、振り返った時にはきらきら笑って。

優しい泣き虫隼くん、舞台の上で他の誰かの気持ちを抱き締めながら大粒の涙を流そうとも、いつもあなたはあなたの時に涙を隠そうとしちゃうね。でも心は素直で、やっぱり潤んだ瞳に嘘はひとつもつけやしない。

 

心のまま素直に滲んだ涙の後に「不安だったんですけどね」なんて、笑いながらひとことだけあなたがこぼしたちいちゃな言葉が、今も心にずっと残っている。

 

 

生まれてはじめての主演、生まれてはじめての舞台。俳優としてのお仕事をするということに、必然という程付いてくる後ろ髪を掴もうとする誰かの言葉。失敗したらどうしよう、誰もよく思わなかったとしたら?考えはじめたらきりがないほどの不安達。こちこちに固まる心臓と、見えない未来と。

 

私が隼くんならば怖い。怖いと思う。

 

だけど全てを感受して、あなたはちゃんと乗り越えてこれたということを、どうか誇っていて欲しい。嫋やかで柔らかい故に、傷だってきっとつきやすい繊細な心を持つ人。辛くないかな、悲しくないかな、いつも遠くから身を案じてしまうけれど、あなたの頑張り屋さんな猫背が私は好きだ。

 

 

甲本が田中を褒めるのならば、私はありったけの言葉であなたを讃えたい。

 

 

隼くんは凄い。まだ俳優さんとしての時間は短くても、あなたの心が豊かだからなのかな。あたなの演じる姿は心にじいんと響く。あなただから届くものがある、何色にだって染まれてしまう。

肩にずんと寄り掛かる不安も感受して、優しく光る姿が好き。豊かな表情、ゆるやか軽やかな言葉尻、やさしく動く眉、はきはきと話す声・涙が出そうなくらい儚い声・気持ちを伝える時の心にずんと刺さる声。

隼くんが生きたイエローハーツは、誰が生きるよりも優しかった。同じ役柄でも演じる人によって色が変わるのならば、あなたのイエローハーツの優しさはあなた自身の優しさの表れなんだよ、きっと。

「僕は芸人さんじゃないので、気持ちを分かりきれないんですが」「それでも」と、決して知ったふりなんてせずに自分であることを潔く認めて伝える強さ。あなたは泣き虫なつよいひとなんだと、私はいつも思ってる。

踊ること・話すこと・統べること・綴ること、そして演じること。あなたが踏み出す数多の世界が素晴らしい。全部あなたの色、全部吸ってカラフルになってしまえば良い。混ざり合った時にうつくしい色になるか不安になる日もあるのかな、それがあなたの色である限り何があってもうつくしいのにね。あなたを留めようとする誰かは心の外に置いて、誰かじゃなくてあなたが選んだ光を歩んでいけますように。

 

あなたは素敵なんだよ隼くん。

言葉じゃ伝えきれないほどに。

 

 

「生まれてはじめて」の日々、本当にお疲れ様でした。

 

 

あなたが頑張る背中に寄り添いたくて、あなたの後ろで私も私に出来る新しい世界に飛び込みました。

生まれてはじめて作った2冊の絵本、公演毎に綴ったお手紙、生まれてはじめてひとり駆け抜けた秘密やなにやら。あなたが居れば遠くへだって旅立てる。

もう大人なのに、それでも私に生まれてはじめてを与え続けてくれるのは他の誰でもない隼くんです。あなたが居なくちゃ出来なかったこと、出会えなかった自分が私の小さな世界には数多にある。

本当に、ありがとう。

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この先のあなたはまたきっと生まれてはじめてに出会うのだろうけれど、もう全てが大丈夫だから、信じていて欲しい。怖くたって、不安だって、隼くんが言うように「あなたはあなた」だ。だからこそ何度だって伝えたい。あなたの未来は絶対に明るいのよ。大丈夫なんだよ。

 

隼くんが任されたスタートライン、

担ったゴールテープ。奇跡のような冬だった。

でも振り返ってしまえば、あの日はもう通過点なのね。だってもう、私達は春の中に居るんだもの。

混沌とした世の中だけれど、春のあなたに会える日はまだ遠く輪郭がぼやけているけれど、それでもあなたの心に花は咲きますように。

 

願わくばこの春の中で。

 

 

いつもあなたの幸せを願っています。